モカシンテレグラフ

日記・雑記 料理とバイク旅の話が多め。NZ思い出話も時々

案外死が近づいておるのやもしれませぬ

前回の話と少し関わりのあるトピック、歴史物について。歳をとったと感じるより前から好きな作品、漫画「へうげもの」というのがある。「へうげもの」とかいて「ひょうげもの」と読む。古田織部を主人公とした漫画。これが大好き。機会があればぜひ読んでみて欲しい。

 

この物語、古田織部(左介)の一生を書いてあるけれど、前半は千利休が主人公と言っても過言ではない(別に問題はない)。そんな利休のセリフ「案外死が近づいておるのやもしれませぬ」、7巻の最最後、左介と利休が熱海で湯治をする時、海岸を馬で流している時のセリフ。これが最近、とても腑に落ちる。同様の意のセリフをもっと初期の頃、明智光秀も言う。

 

別に今日明日に死ぬとは思っていないけれど、確実に人生を折り返し、いつか来る「死」というものがある程度現実味を帯びてきている。現実味を帯びているというか、ぼんやりとした形だったものが、霧が晴れて(かなり先の方だけど)クッキリと見えてきたというかなんというか。それに伴って、感性?感覚?思考?その辺も同時にクリアになってくる感覚があるような気がして、ああ、これが「死が近づいておるのやもしれませぬ」の感覚なのかなとよく考える。

 

あと、そうして感度が上がったからか、いろいろな物事が凄くうるさく感じるようにもなってきた。「金バエがうるさい」「無駄を削いで削いで削いで最後に残ったものが…」あたりに通ずるのか。単に老人性偏屈なのかもしれないけど。でも、そうやっていろんなことがうるさく感じるが故に、人里離れた庵に引っ込みたくなるのが大変わかる。まあ、庵に引っ込みたい症候群はずーっと昔から、20代の頃から変わらずあるけれども。

 

そう、この「へうげもの」はアニメにもなっていて、確かNHKでやってたと思う。自分としては、原作に忠実に、雰囲気も壊しておらず、とても良くできていたと思う。特に利休の声優さんのキャスト(田中信夫)がビタハマり。利休が死ぬところまででシリーズは終わり(当時はまだ連載も終わってなかったしね)。これも機会があれば是非見てもらいたいけど、なんか、これは原作者と制作で軋轢が生じてしまったらしい噂話をよく聞いた。作品自体にはそのスキャンダル的話題は特に関係ないから、自分としてはどうでもいい話ではあるのだけれど(原作者が損をしていないのならばね)。

 

へうげもの」という作品を見てね、という話でした。